AV版『大奥』シリーズレビュー【ERO-DVDⅡ】

先月に引き続き、今月のテーマもお江戸のエロスです。
今回ご紹介するのは『大奥 蕾の乱 明日への契り』。
この作品は、前作『大奥 淫の乱 花びら燃ゆ』の後日談となっています。

主人公は、前作の主役・美津子の幼馴染で、優秀な奥女中でもある お玉(みひろ) です。
火事によって将軍と美津子が落命するという悲劇ののち、新たな将軍となったのは、見目麗しい男性でした。気品溢れる新将軍に奥女中たちは心を奪われますが、男を知らないお玉だけは「格好つけて、いけ好かない」と辛口です。しかし、そのお玉が「御内証」に選ばれ、若い将軍の筆下ろしを任されることになります。

幼い頃から女性たちの権力争いを目にしてきた将軍は大奥のシステムを嫌っており、お玉を抱こうとしないどころか、「お家安泰のため床入りするのであろう」などと暴言を吐きます。

心無い言葉に傷つきながらも将軍に媚びず凛とした態度で接し、しかし、少女らしい愛らしさを見せるお玉。将軍も初めての行為に緊張しているのです。ふたりは結ばれ、将軍は一人前の男性となります。

その後、将軍はお玉を正室にと望み、母后・金玉院と対立。将軍は京から公家出身の姫君を娶りますが、お玉を愛する彼は姫と同衾しようとしません。そんな状況の中、内乱が起こり、戦況は激しさを増していきます。世継ぎを残さないまま将軍自ら出陣することに。

その一ヵ月後。戦死の知らせを聞いたお玉のもとに、将軍は魂となって戻ってきて……大奥を辞したお玉は将軍の子を身ごもっており、ひとり強く生きることを誓うのでした。

純愛物ですね。将軍は童貞の設定なので、初夜ではぎこちない感じがよく出ています。それを補完するように、愛されない姫君は情熱的な自慰を、大奥総取締・石丸は成熟した女の喘ぎを見せます。そして、幻想の中でのお玉と将軍のセックスはしっとりと……。

前作では無意味なカラミが目立ちましたが、本作ではかなり整理されていて、必然性のあるものとなっていました。
個人的に心惹かれた場面があります。新しく大奥総取締になった石丸が、奥女中たちから軽んじられ、彼女自身も「仕事の荷が重い…」と悩んでいるところです。

お玉が出来すぎた女性なだけに、石丸のか弱さが際立って、感じる顔がよりエロティック。勝気で愛らしいお玉とたおやかな大人の石丸、そして高慢で淫らな姫君と女性のキャラクターがはっきりしているので、感情移入しやすいのでしょうね。

時代物の名作ポルノとしては『エロ将軍と二十一人の愛妾』や『好色 元禄(秘)物語』などがあります。これらは70年代に作られた東映作品で、現在のAVやVシネマと違い、もっと映画寄りです。撮影所を持っていたからできたのですね。
その後、撮影費がかけられなくなったことにより、この路線は衰退していくことになります。

そんな流れの中、この『大奥』のようにセットや衣装に凝った作品が復活しているのは、製作者の志を感じます。セックスそのものの描写でなく、物語で感じさせるAV。機会があったら、この『大奥』シリーズをご覧になってはいかがでしょう?内容がライト過ぎると感じたら、古典(?)に戻ってみるのもいいかもしれませんよ。

 

 

 

※本コラムは2007年~2009年連載のため、紹介された作品は既に廃盤となっております。DMM動画(R18)でも配信は終了しております。

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